異形成~初期子宮頸がんは症状がなく、一般的に行われる内診だけでは正常との区別がつきません。診断をつけるには精密検査を受ける必要があります。以下の3つの検査で確定診断を行います。
細胞診は子宮腟部〜子宮頸部全体をブラシ、へら、場合により綿棒により細胞を採取しプレパラート直接塗布や液状検体として固定標本を作成し、専門医が顕微鏡で診断を行います。細胞診は子宮がん検診でも必ず行われる検査です。
結果が出るのに1~2週間かかります。
現在、細胞診の評価は日母分類(クラス分類)からベセスダ分類表記に変わっています。
今まで日本で使用されていた子宮頸部細胞診報告様式は日本母性保護医協会が作成した日母分類でした。クラスⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴという数値化のため使い勝手が良く汎用されていました。
しかし近年、子宮頸がんの発がんメカニズムの一部が明らかになるにつれ、クラス分類では説明できない部分が数多くでてきました。
また国際的に用いられている細胞診分類との互換性も求められるようになり、現在はベセスダ分類という報告様式で細胞診結果をお知らせするようになりました。
結果 | 略語 | 推定される 病理診断 |
従来の クラス分類 |
英語表記 | 運用・取扱 |
---|---|---|---|---|---|
陰性 | NILM | 非腫瘍性所見、 炎症 |
I、II | Negative for intraepithelial lesion or malignancy | 異常なし:定期検査 |
意義不明な 異型扁平上皮細胞 |
ASC-US | 軽度扁平上皮内 病変疑い |
II-IIIa | Atypical squamous ceils of undetemined significance(ASC-US) | 要精密検査:(1)HPV検査による判定が望ましい。 陰性:1年後に細胞診HPV併用検査 陽性:コルボ、生検 (2)HPV検査非施行 6か月以内細胞検査 |
HSILを除外できない 異型扁平上皮細胞 |
ASC-H | 高度扁平上皮内 病変疑い |
IIIa、IIIb | Atypical squamous ceils cannot excilude HSIL(ASC-H) | 要精密検査::コルボ、生検 |
軽度異型扁平上皮細胞 | LSIL | HPV感染 軽度異形成 |
IIIa | Low grade squamous intraepithelial lesion | |
高度異型扁平上皮細胞 | HSIL | 中等度異形成 高度異形成 上皮内癌 |
IIIa IIIb Ⅳ |
High grade squamous intraepithelial lesion | |
扁平上皮細胞 | SCC | 扁平上皮癌 | V | Squamous cell carcinoma | |
異型腺細胞 | AGC | 腺異型または 肺癌疑い |
III | Atypical glandular cells | 要精密検査:コルボ、生検、 頸管および内膜細胞診または組織 |
上皮内腺癌 | AIS | 上皮内腺癌 | IV | Adenocarcinoma in situ | |
腺癌 | Adenocarcinoma | 腺癌 | V | Adenocarcinoma | |
その他の悪性腫瘍 | other mailing | その他悪性腫瘍 | V | Other malignant neoplasms | 要精密検査:病変検索 |
子宮頸部細胞診に用いる採取器具の一部です。
左から綿棒、頸管ブラシ、ブルームブラシ、サイトピックになります。
コルポスコープで病変のある子宮腟部を特殊な加工をして観察することにより、病変の位置や進み具合、広がりがすぐにわかります。この検査は異形成や初期子宮頸がんを唯一リアルタイムに検出できる方法です。
狙い組織診はコルポスコープにて病変部を観察しながら、最大病変と思われる部分を狙って生検し、採取した組織を病理学的に診断します。